30年ほど前からは、農協への出荷だけでなく、知り合いや親戚からの注文を受ける産地直送にも取り組んできました。季節の前には、自宅のFAXが注文書であふれかえるほど。それでも、りんごの価格自体は頭打ちで、「お金のことを考えれば、とても割に合わない」というのが母の口癖でした。私自身も、小さい頃から「りんご農家は継ぐな」と言われて育ちましたし、周囲でも後継者不足が進んでいます。
それでも、携わる「楽しさ」があることもまた事実です。単調な作業の中に少しずつ工夫を重ねたり、収穫したコンテナを前に達成感を感じたり。
「作る人」「食べる人」という関係を超えた、農家と消費者の新しい関係を、これからも築いていきたいと考えています。東京と長野、双方に拠点を持つ私たちだからこそ、できることがあるはずです。
Written by Naoya Yoshida